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「心にうつりゆくよしなしごと」について


「心にうつりゆくよしなしごと」について

<150>Industry-ある業界 ある業界の裏話

ちょっと変わった業界の裏話をします。
その業界とは、プロレス業界です。


プロレスの勝敗について、「あんなの八百長じゃないか」「いや、あれは本気の勝負なんだ!」という永遠の論争が一般の方とファンの間で繰り広げられています。
2ちゃんねるのプロレス板なんか見たら、そうですよね。
では、実際の所はどうなのでしょうか?
これを書いたのが私だとバレると確実にクビになりますが、あえて書かせて頂きます。

ぶっちゃけると、勝敗は事前に決まっています。
たとえば、8大会連続で続くトーナメント戦などの場合、会社(フロント)側が優勝者と準優勝者くらいまでを決めてしまいます。
そして、その意図に沿ってレフェリーが各大会・各試合ごとの詳細な勝敗表を決め、試合の直前に選手に「あなたが勝ち、あなたが負け」という指示を出すのです。
この指示をベースに、選手はあうんの呼吸で試合を「即興で作り上げる」という寸法。
従って、良く耳にする「ブック(試合の流れをまとめた台本)」というものは存在しないのです。
同時に、試合という作品を作り、レスラーもキャラクターを演じているわけですから、八百長という言葉はふさわしくないのです。

プロレスのおもしろさは、トーナメントなどの大きなストーリーもそうですが、この1つ1つの試合で、選手が小技から大技を繰り出し、相手の技を受けて双方引き立たたせながら、試合という「作品」を構築するところにあります。
もちろん、そこには観客の空気を読んで意表を突くことをしたり、観客を徐々に盛り上げていくというテクニックも必要です。
観客もほぼ全員が、口にこそ出しませんが、この「楽しみ方」に乗っ取って会場に来るわけです。

先日、私が良く話す若手某レスラー(現二冠王者)が、試合が終わって花道を引き上げる際、酔ったチンピラみたいな客に花道脇から「おいっ、○○(選手の名)!ブック通りやってんじゃねーよ!八百長じゃねーか、八百長!」と叫ばれました。
某レスラーは、普段は温厚な好青年なのですが、この言葉にはさすがにブチ切れ、怒りを露骨に出すと、そのチンピラに向かって「おいお前、出てこいよ!」と叫んでケンカキックをブチ込んだのです。
当然チンピラもヒートアップ。リアルファイト寸前にまでなりましたが、関係者が押しとどめ、事なきを得ました。

実際、日本のプロレス団体は、K-1などの格闘技団体を意識した上で、妙な精神論に基づくプライドから、前述のような「試合を作っている」と言うことが言えなくなっています。
これに対してアメリカのWWEは、ニューヨーク証券取引所に上場する際「ストーリーと試合の勝敗を事前に決めて、観客を魅了するスポーツ・エンターテイメントである」と、ぶっちゃけてしまっています。
日本のプロレス団体は、このままではよりコアな方向に落ちていき、零細化することは免れないでしょう。さながら、終戦直後に大ブームとなった、大衆新劇のように、20年後には都市部での興行も少なくなって、地方部でしか興行収入を得れなくなる可能性もあります。
今の時代、徹底的に決着までスピードのある競技が人気を博しています。
競馬でも長距離レースより短距離レースの方が売り上げが上ですし、もっさりと試合を作っていくプロレスよりも、秒殺のスリルがある格闘技の方が人気があります。

もしプロレスを見る機会がありましたら、「こんなこともあるんだな~」という程度で、この話を思い出して頂ければ幸いです。
きっと、また別の視点で見えてくると思います。

Posted by ナカノヒト : 2005年08月18日 15:34 | コメント (0)

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