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「心にうつりゆくよしなしごと」について


「心にうつりゆくよしなしごと」について

<120>Society-社会 郵政民営化、とうとうやっちゃった

グラディウスガリア人を蹴散らしたり、ギリシア人のファランクスを背後からエクイタスで強襲しているうちに、とうとう郵政民営化がスタートしてしまいました。

私が2001年に当時のブログで『予言』した“ゆとり教育への警鐘”のように、この話が30年以内に的中しないことを切に祈りたいです。

以下、2005年9月の郵政選挙の際に当サイトに掲載した記事を、一部編集して再掲します。


郵政民営化というのは、組織的には郵政公社を以下のように分割することです。

1.窓口会社
 →窓口業務を取り扱う会社

2.郵便会社
 →配達実業務を取り扱う会社

3.簡易保険会社
 →簡易保険の運用と商品を取り扱う会社

4.郵便貯金会社
 →郵便貯金の運用と商品を取り扱う会社


このように独立採算制の会社に分割した上で、採算が合わなければ店舗を潰し、業務を縮小していくという一般企業の論理を取り入れるわけです。
ちなみに現郵政公社の場合、窓口業務と郵便業務が赤字で、郵便貯金と簡易保険は黒字。
当然ながら黒字部門が赤字部門をカバーしています。

分社後はどうなるかというと、赤字部門の郵便会社と窓口会社は存在だけで赤字になるので、コンビニとの提携や、業務の外部委託、一部の店舗(あえて『店舗』と言います)の統廃合を余儀なくされるでしょう。
政府は「地方の郵便局(特定郵便局)は閉鎖しない」という方針を打ち出していますが、民間企業の論理を取り入れるならば、赤字が累積し、将来的に閉鎖に追い込まれるでしょう。
実際、国鉄民営化後のJRでは、公共サービスであったローカル線を、赤字と見るや次々と廃止していきましたしね。

ここで黒字部門の郵便貯金と簡易保険に目を向けてみます。
実は問題の根本は、ここにあると言っても過言ではありません。
膨大な額の預金や保険の掛け金の流れが、かなりヤバいことになっているのです。

これら国民から預かった預金や掛け金は財務省に預けられ、『財政投融資』という名前で公共事業に投資されているのです。
「なぜ財務省に!?」と思ったアナタ。ここがツボなのです。

この仕組みは昭和40年代の田中角栄内閣で作られました。
当時の日本は高度成長期で、国内のインフラ整備を早急にしなければならない状態。
道路や鉄道、空港、それに伴う公共機関などを一気に作らなければならなかったのですが、資金をどこから調達するかが大きな問題となっていたのです。
そこで田中内閣は、大量の預金や保険掛け金を持っている郵政から融資を受けるということを考えたわけです。

これがズバリ的中。
インフラ整備は一気に進み、土木関係者やその周辺、さらには地方も潤うことになりました。
するとここで『国』という超絶優良大クライアントから仕事を請けたいゼネコンなどが、国会議員や官僚に賄賂を渡し、公共事業の受注をしようと目論んだわけです。
当然議員や官僚は無理にでも公共事業を計画、そのたびに郵政から際限なく借金……
新規公団や政府外郭団体を作っては、経費調達のために郵政から借金……
この調子で我々国民が郵便局に預けたお金を使い込み、とうとう返済の目処が立たない状態にまでなってしまったのです。
ちなみに、道路公団だけで40兆円を超えています。

ですが、いつかは返済しなければなりません。
ここで『国債』を発行し、投資家に買わせることで借金の借り換えをすることで、郵政に返済するようになったのです。
そこらの多重債務者よりタチが悪いですね。

さて、いよいよ佳境に入ります。
実は、私もここまでしか考えていませんでした。
『借りクセと癒着を無くす』という点では、郵政民営化に賛成寄りだったのです。
ですが、視点をちよっと変えると恐ろしい仮設が浮かび上がってきました。

国民1人あたり郵貯にできる預金は、郵便貯金法に基づく1000万円。
現在の郵貯総額は5000兆円なので、国民1人あたり、約4000万円も貯金している計算になります。
(2004年の国民人口は1億2768万7000人)
法的には1人1口座で限度額1000万円、のはずですが、多重口座が横行しているのはご存知の通りです。

もし、もしですよ?
民営化後の郵貯会社が倒産したら……
ペイオフ(預金保護制度)の期限が切れた現在は、法的に預金は元本1000万円とその利息分しか保護されないことになります。
恐らく元本保護の対象も、多重口座を禁止する法に則り口座単位ではなく、個人単位になるでしょう。
そうすることで、赤字国債を発行することもなく、約3800兆円の郵便貯金、つまり、国民の預貯金を犠牲にすることで、国の借金が帳消しにできるのです。

2004年より、1人あたり1000万円を超える預金は、強制的に国債購入に振り返るという措置を執りつつあります。
ですが、これもいわば最後の手段なので、そこまで執行されていないのが現実。
仮に国債に振り替えたとしても、法律や経済状況で紙くずに変わり、国の借金帳消しに寄与する可能性があることには変わりありません。

民営化後の郵便貯金会社や簡易保険会社は、民間企業との差別化という名の下、過重な課税をされることが決まっています。
このことで黒字を維持できず、店舗数も減るでしょう。
しかも、民営化後の郵政会社の株は、全て政府が持つことになっています。
NTTやJR同様、時期を見て株を売ることで、政府にとっては二度おいしいというわけです。

当然、この『仮説』は国会ではほとんど取り上げられていません。
だって、誰も取り上げられないでしょ、こんな話。
だから小泉首相は『スローガンあって政策なし』、というよりは『スローガンしか言えない』と考えられるのです。
各種メディアも書けない、真の恐怖はここにあるのです。

Posted by ナカノヒト : 2007年10月01日 22:19 | コメント (0)

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